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2月5日

 年下の女に贈る最後のプレゼントに相応しいものはなんだろう、と朝から考えていた。三越のTHREEのお姉さんはとてもやさしく、Diorのおばさんはケバかった。魔力がいちばん強い気がして結局CHANELCHANELのおばさんにナメられているなあ〜と終始思っていた。ぜんぜんお客様扱いじゃないような気がした。お金を払うときのお財布をすっごい見てくる。古いけれど母のお下がりのcoach使ってて良かった。

 

手紙屋でいちばん上品な便箋と封筒を買い、キジトラでコーヒーを飲みながら手紙を書く。マスター以外に、珍しく中年の女性がはたらいていた。はじめて見た。奥さんなのだろうか。改めて買ったネイルエナメルを取り出して、梱包のリボンやちいさな紙袋を眺めながらそれでもCHANELにしてよかったと思う。ブランド力は説得力だと講義で習った。これはわたしがここを去るという説得。

手紙を書いて想定の枚数に収まったことがない。ふたりぶん書き終えて時計を見るとまさに集合時間になっていてアリャ〜、と呟く。遅れる!とLINEして走る。わたしはいつもこうだ。誰かに花を買ったり手紙を書いたりして遅刻する。良くない。いつのまにか雨が降っていて濡れたアーケードで転びかける。

 

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姉妹みたいでかわいかった。

 

 

 

お店に着くとなぜかふたりが店の前まで出て来ていて、なんだ?と思って促されるまま席へ行くと短歌会のみんながいた。やーい!送別会だ!と言われる。ほんとうにみんないたのでびっくりして手が震えた。したり顔の玲子とみずきを小突いて、ええ〜、ええ〜というままロゼを飲み干した。

 

みんなが手紙やプレゼントをくれ、表彰状まで用意してくれて、やっぱり泣いてしまった。ほんとうにここを去るんだ、と強制的に認めさせられる。

 

いきものがかりのYELLが流れて店内が暗くなり、花火のついたデザートプレートが出てくる。

 

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笑ってしまう。恥ずかしかったんですよ、がんばはひらがなで、レインは片仮名で、ってお願いして、と玲子が笑う。さよならはかなしいことばじゃない。いきものがかりの歌詞に背中をとん、と押されてなみだが出た。昨日最後みたいな顔した浅野が手紙を読んでくれる。れいんのおかげです、と。そんなことない。わたしこそ、わたしこそ…

 

 

終わりのことを考えた。終わりを終わりにするための儀式のいろいろを。

やりたいことが手一杯で泣いてしまう。